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10. 02 / 05

グラスのデザイン

グラスのデザイン


グラスを作っています。
といっても実際に作るのは工場の方々なので、私たちはデザインした。というのが相応しいでしょう。小さなプロジェクトですが、様々な方々のご協力を頂き進んでいます。本当にありがとうございます。

手に取ったときの大きさ、持ちやすさ、飲み物の量など。考えることはいろいろありますが、飲み物が「おいしく」なるような、「飲む」という行為が美しくあるようなグラスを目指しています。

指先がグラスに、唇が液体にそっと触れる。 そのときの感覚をデザインしたいと思います。

グラスは「型吹き」といわれる作り方で、ガラスを職人さんが「ふーっ」と吹いて金型に落とし込む方法で出来上がります。カタチの定まった「型」と、正確にしてどこか曖昧な「手吹き」のコラボレーションです。

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この金型を作るプロセスがとても興味深いので、ご紹介したいと思います。

金型とは、冷凍庫で氷をつくるときのトレーのようなものです。グラスが氷で、金型がトレーにあたります。トレーのカタチで氷のカタチができるように、金型に素材を流し込むことで、つくる物のカタチができあがります。

Wikipediaでの金型の説明(抜粋)
金型は、製造業での製品の外観の優劣や品質・性能あるいは生産性を左右する重要な要素であるため、その製作に当たっては時間と費用がかけられ、完成した金型は容易に交換出来ない重要な資産として扱われています。設計情報を転写する機能があり、精密部品などの金型については、0.001 mm単位の正確さが求められています。ドイツでは「金型は生産工学の王」であるとも表現されています。資産として扱われるため固定資産税がかかることもあるそうです。

毎日クリックするマウスから、化粧瓶、車のボディーまで、私たちの暮らしの中で目に入るありとあらゆる多くのモノが、金型を用いて作られていることに驚きを感じます。

金型の製作は、ハイテクとローテク、手作業から成ります。



まず、コンピューターでグラスのカタチのデータを作ります。そのデータはCG映画に使われている、3次元 ( タテ . ヨコ . 高さ ) の位置を持った数値によるデータです。平面や曲面の造形のスムーズな数値化や、出来上がるものが金型から外れるように、金型そのものを「設計」します。



そのデータ通りに大きな機械がドリルの刃を動かし、まるで自らが意思をもっているかのごとく鉄の塊を削っていきます。機械が削り終わると、電動の工具を用いた手作業で、機械にはできない精度の磨きをかけます。

この度グラスの金型をつくってくれている方は、コンピューターによる金型の設計、機械の操作、そして経験と眼による手作業をこなしています。高度な知識と技術を持ったエンジニアでありながら、熟練を要する職人でもあります。
様々な技術と技術を持った人が、普段なにげなく手に取るモノの背景に存在しているのですね。



グラスの試作をもとに、製作上の問題を解決するため、また、カタチのバランスを整えるため0.6mmだけ形状を変えてもらいました。グラスの直径に対して約1%の変化なのですが、小さなグラスにとっては大きな変化です。

次回は、「ふーっ」と吹く職人さんの仕事をはじめ、様々な過程でグラスが出来ていくところをご紹介したいと思います。

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